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トリコモナス
trichomonas
性感染症の一つで、「膣トリコモナス原虫」という微生物によって引き起こされます。「膣」とついていますが、男性にも感染します。この感染症は古くからあり、感染経路は主に性行為感染です。性行為のほかにも下着、タオル、便器や浴槽などからも感染するといわれています。基本的には性行為を行う年代の男性と女性の間で感染しますが、無症状のパートナーからの感染のほか、感染経路により性行為経験の無い女性や小児でも感染することがあります。
クラミジアなど他の性感染症と比較すると、感染者の年齢層が幅広いという特徴もあります。他の性感染症では10代から20代での女性がもっとも罹患率(感染症を発症する人の数)が高い傾向にありますが、トリコモナスになる膣炎の場合は中高年である40代から50代でも罹患率が高くなります。WHOは、2020年には15歳以上50歳未満の人々の間で、約1億5600万件の膣トリコモナス感染症が新たに発症したとしています。
また、トリコモナス症は女性の少なくとも50%、男性の70~80%では無症状であるといわれるため、感染症を発症していることに気づかないこともあります。特に妊娠中のトリコモナス症は、早産や低出生体重につながる可能性があります。
原因となる微生物はトリコモナス原虫と呼ばれる微生物です。細菌やウイルスとは違い、小さな核を持つ洋ナシ状の体をしており、その前後に鞭毛と呼ばれる動く毛のようなものが数本あります。肉眼では確認することはできませんので、分泌物などを顕微鏡で確認し、トリコモナス原虫の存在を確認することになります。必要に応じて遺伝子学的検査や培養検査を行います。
男性の場合は前立腺や精のう、尿道に寄生し、女性は膣内、子宮頸管、尿道、膀胱に寄生します。ただし、尿道のみに感染している場合は、排尿によって流し出されている可能性があります。
感染して発症するまでの期間(潜伏期間)は、男性10日前後、女性5~14日前後といわれているため、多くの場合は感染していてもすぐには気づきません。発症すると、症状は男性よりも女性に強く現れる傾向にあります。
男性では尿道炎による尿道の赤みやかゆみ、尿道からの分泌物、前立腺炎による排尿時の痛みなどを自覚できるようになりますが、無症状のまま気づかずに経過することもあります。
女性は男性に比べ症状がさまざまです。主な症状は、感染した時から6か月以内に気づくようになる、泡状で臭いが強いおりもの増加、外陰部や腟での痛みやヒリヒリ感、強いかゆみ、性交時痛、排尿時痛などです。感染がそのまま続くと、卵管炎や骨盤内感染につながります。これが不妊の原因の一つです。ただし、約20~50%の患者さんは無症状といわれており、感染や発症に気づかずに過ごすこともあります。
女性が妊娠中に感染すると早産になる可能性があり、注意が必要です。男性よりも女性のほうが強い症状が現れやすいため、HIV感染や骨盤内感染などとの関連性にも留意します。
問題となるのは、無症状な男性を介して女性に感染が広がる(ピンポン感染です。パートナーがいる場合は再感染を防ぐためにも同時に受診し、一緒に治療を開始することが望ましいです。
<男性の症状>
●尿道の赤み、痒み
●尿道からの膿
●排尿時の痛み
<女性の症状>
●泡立った異臭のするおりものが出る
●外陰部や膣の腫れや痛み
●性交時の痛み
●排尿時の痛み
これらの症状が自然に治ることはありません。必ず治療が必要です。症状がみられた場合は、放置せず医療機関を受診してください。
検査は主に3つの方法があります。
●顕微鏡検査
●培養法
●核酸増幅検査(TMA法・PCR法)
男性と女性では検査方法が異なります。基本的には男性は尿を摂取し、女性は膣からの分泌物を綿棒で拭います。それらを顕微鏡で観察し、トリコモナス原虫の有無を確認します。ただし、尿検査は精度が不安定なため、感染していても顕微鏡で確認できない場合もあります。問診や診察を行った上で感染の可能性が高いと判断した場合や、パートナーの感染が確認できている場合は、治療を優先して行うことがあります。このほかに、精度の高いTMA法※1やPCR法※2という検査があります。どちらも遺伝子に含まれる核酸を増幅させてトリコモナスの存在を確認する検査で、症状が出ていない場合でも受けられます。
※1 TMA法は検出対象が主にRNA、温度変化をさせずに核酸を増幅させる方法
※2 PCR法は検出対象が主にDNA、熱を与えることで核酸を増幅させる方法
トリコモナス検査は、感染したと思われる時から24時間以上経てば、実施することができます。
膣トリコモナス症の治療は本人だけでなく、配偶者やパートナーも一緒に行います。男性は女性に比べ、トリコモナスの検出が困難でありパートナーの男性が陰性になることもありますが、感染の可能性があると診断された場合は治療を行います。
基本的には抗トリコモナス薬の内服や、膣錠で治療します。トリコモナス原虫がいなくなれば不快な症状も無くなっていきますが、症状が無くなったからといって完治ではありませんので、治療を途中で止めないでください。
また、抗トリコモナス薬内服中は、アルコールを禁止する必要があります。治療薬を内服中にアルコールを摂取すると、嘔吐や腹痛、悪心、動悸、頭痛などの症状が強く現れることがあります。
残念ながら、人体ではトリコモナス原虫対する免疫ができないため、何度でも再発する可能性があります。原虫の残存による再発や、パートナーからの再感染、隣接する臓器からの自己感染などがあります。再発の場合も同様に、しっかりとお薬による治療を続ける必要があります。
性行為の際は、コンドームに破れがないか確認し、きちんと正しく使用することが原則です。また、不特定多数の人との接触、感染者との同時入浴、タオルの共有もやめましょう。
パートナーが感染した時(感染していることが分かった時)は、ご自身に症状がなくても医療機関を受診し、検査・治療を受けてください。症状の悪化や再感染を防ぐために重要なことといえるでしょう。
トリコモナス感染症以外でも、似たような症状が現れる性病があります。自己判断せず、専門のクリニックで診断を受け、早期発見、早期治療につなげましょう。
当院では様々な性感染症や婦人科の病気に関する検査を実施しています。男性も女性も受診可能ですので、気になる症状や、感染の可能性がある方は、早めに検査を受けることをおすすめします。
※本文は、日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAS及びJSAPS)所属のアモーレクリニック院長 鈴木秀明 医師の監修のもと、内容の正確性や信頼性を確認しています
トリコモナスは尿道炎・排尿時違和感だけではなく、膿が出たり、包皮が腫れたり、また時々全く無症状だったり・・。といった様々な病状を示します。女性に多い疾患ですが男性も感染しますので性器に違和感を感じたら検査をいたしましょう。
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