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アモーレクリニック HOME | 性病に関する記事 | HIV(エイズ)とは|予防・発症・後天性免疫不全症について解説
- 2024.05.16
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HIV(エイズ)とは|予防・発症・後天性免疫不全症について解説
HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスのことです。
多くの命を脅かし、世界的に問題となっている感染症です。感染すると「エイズ(後天性免疫不全症候群)」を引き起こす可能性があります。エイズは免疫システムが破壊され、さまざまな二次感染が発生しやすくなります。
日本全体で2023年1年間の新規HIV感染者は669人・エイズ感染者は291人(速報値)で合計960人だと報告されています。これは、1日あたり約2.6人がHIV感染、またはエイズを発症しているという計算になります。
世界的に見てもHIVは年間130万人もいるとされています。
HIVの基本情報から、ウイルスの予防、発症と治療方法について詳しく解説します。また、HIVとエイズの違いと、日常生活における予防対策などを取り上げます。正しい知識を持って、感染を阻止することは大切です。
正しい理解と、それに基づいた予防法を知りましょう。
HIVとは|エイズとの関係について
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はエイズの原因となるウイルスです。
人の免疫システムを攻撃し、T細胞(白血球の一部)を減少させます。これらのT細胞は、人間の免疫システムに関係する重要な細胞で、感染症や病気から守ります。ウイルスによって免疫システムが破壊されたとき、病気に対する抵抗力を低下させます。
また、エイズ(後天性免疫不全症候群)は、HIV感染が進行して免疫力が著しく低下した状態を指します。エイズと診断され、T細胞が極端に少なくなると、他の感染症にかかりやすくなったり、がんになりやすくなります。
この免疫システムが破壊されるのは、感染から数年から10年以上かかることがあります。少しずつ壊されていくため、多くの人がエイズ発症まで気づかないことがあります。感染予防していても、感染する可能性はゼロではないので、気を付けましょう。
HIVからエイズへの発症
実はHIVに感染しても、全ての方がエイズを発症するわけではありません。
エイズの発症には個人差があり、平均10年程度の無症状の期間があります。また、エイズは抗レトロウイルス療法(ART)といった進行を抑制する効果的な薬も開発されており、エイズは正しい治療で発症を抑えることができます。
なので、必ず発症するわけではないので、心配しすぎないでください。感染予防と正しい治療薬の服用で進行する可能性は著しく抑えられます。
HIVからエイズを予防するために
HIVからエイズを予防するなら、初期段階での発見と治療が大切です。
感染すると発熱や喉の痛み、筋肉痛といったインフルエンザと似た症状が現れます。可能であれば、この段階で感染を発見し、早期治療を行うべきです。エイズは感染予防だけではなく、症状の進行を抑える治療を受けることも大切です。
しかし、抗体が作られるのは感染から6〜8週間ほどかかります。すぐに検査を行っても陰性と判断される可能性がありますので、症状が現れてから1〜2か月後にクリニックへ受診することを推奨します。
HIVの感染経路|性的接触と血液感染
HIVの感染は性的接触(性行為)と血液を介した感染、母子感染の3つです。
コンドームの非使用は多くの性病の感染率を高めます。また、コンドームを使っても正しく装着できない場合は、感染予防にはつながりません。現代だと一般的ではありませんが、注射器の共有などによる血液感染、出産時の母子感染も考えられます。
性的接触(性行為)による感染
感染経路で最も多いのが性的接触です。
感染者の体液(精液・膣分泌液)が粘膜から接触することで感染します。とくに、コンドームを使用しないで、膣内射精や肛門性交はリスクが高いです。これらを防ぐには、コンドームの使用、予防薬(PrEP、PEP)の利用が有効な予防策とされています。
血液を介した感染|注射器の共用など
血液を介した感染経路もあります。
これは、注射器の共用などで起こりうる現象です。とくに、薬物使用による注射器の再利用などで起こりえます。医療機関では、注射器の共用は行わないため、病院内で血液を介した感染は起こりえません。
一般的に、血液による感染は自身では予防することが難しいです。
垂直感染(母子感染)について
垂直感染とは、母親から子供への感染を指します。
これは、妊娠・出産・授乳中で発生する可能性があります。母子感染は、適切な医療介入が無い限り、感染の可能性は否定できません。正しく治療を行えば、このリスクは1%未満に抑えることができます。
HIVの症状|初期症状と無症状期間を経て起こるエイズとは
HIVは、初期症状が起こり、無症状期間を経てエイズを発症します。
エイズを発症する期間には個人差があります。おおよそ10年程度の無症状期間を経てエイズを発症すると言われていますが、治療を行わない場合に限ります。正しい治療を行えば、長く健康的な生活を送ることができます。
初期症状|インフルエンザと似た発熱や筋肉痛
初めて感染すると、多くの場合、感染後2〜4週間程度でインフルエンザと似た症状が現れることがあります。発熱や喉の痛み、筋肉痛などが特徴的です。これは急性HIV感染症と呼ばれており、症状自体は数週間で自然に消失します。
可能であればこの段階で感染に気付きたいです。しかし、抗体は感染から6〜8週間ほどかかります。なので、初期症状が起きてすぐに検査を行っても陰性と判断されることがあるので、その点には注意しましょう。
無症状期間|数年から10年以上に及ぶ
初期症状が過ぎると、長い無症状期間に入ります。
この期間では、症状が表面化しておらず、初期症状も風邪やインフルエンザと似ているため、感染に気づきにくいです。この無症状期間が数年から10年以上続くことで、エイズを発症します。
1年が過ぎる毎に、身体の免疫システムは徐々に弱体化されていきます。もちろん、この段階で正しい治療を行えば進行を防ぐことは可能です。
エイズの発症|さまざまな身体の不調について
感染が進行すると、免疫システムは著しく低下します。
エイズを発症すると、慢性的な疲労感や体重減少、重篤な感染症のリスクが増えます。また、エイズは抵抗力が落ちるため、がんの発生が高まるとも報告されています。さまざまな免疫に関わる問題が起こりうるのです。
コンドームなどで感染予防するべきでしょう。
現代では進行するのを防ぐ治療薬が開発されています。早急に感染を発見して、すぐに治療を行うことでエイズの発症を防げます。しかし、抗体が作られるのは6〜8週間ほどかかるので、初期症状から1〜2か月後の検査を推奨します。
HIVの予防策|性行為と予防薬で意識するべきこと
HIVの予防は、感染拡大を抑える面でも重要です。
予防法は多岐にわたり、感染リスクを最小限に抑える習慣が大切です。完璧に引き離すことは難しくても、下記の3つを意識することで、感染確率を減らすことにもつながります。
コンドーム使用による安全な性行為
最も効果的な予防法は「コンドームの使用」です。
コンドームは避妊具として知られていますが、性感染症の予防にも一定の効果があります。HIV以外の性病からも守り、とくに不特定多数と性行為を行う際には、コンドームの使用は重要だと言えるでしょう。
正しい方法で使用することで、感染を予防します。肛門性交はとくに感染のリスクが高いので、コンドームの使用が必須です。
予防薬(PrEP・PEP)の利用
予防薬として知られている「PrEP」は、性行為前に服用することで感染のリスクを減らす効果があります。また、PEP(ペップ)という薬もあり、こちらは性行為後に飲む薬のことです。
一般的に、PrEPは感染するリスクが高い方に推奨される薬です。非感染者が感染のリスクがある際に服用する薬で、パートナーが感染していたり、不特定多数と性行為を行ったりする方に推奨される予防法です。
定期的な抗体検査
定期的な抗体検査は、早期発見につながります。
また、検査は匿名で受けることができます。全国のほとんどの保健所や自治体の特設検査施設で無料・匿名で受けられます。早期発見することで感染拡大を防ぎ、エイズに進行するのを防ぎ、健康的な生活を送ることができます。
定期的な検査はHIV最大の予防法です。
HIVの診断と治療|抗レトロウイルス療法(ART)と副作用について
HIVの診断と治療は重要です。
感染が発生した時に、適切な診断と効果的な治療によって、HIV感染後も健康的に長く生活を送ることができます。一般的な診断方法は「抗体検査・抗原検査」と呼ばれるテストが行われます。
また治療には、抗レトロウイルス療法(ART)という進行を防いで、エイズの発症を防ぐ治療薬が処方されます。しかし、治療薬には副作用もあり、これには個人差があるので、服用の際は医師から正しい説明を受ける必要があります。
診断方法|一般的な血液検査について
まず、血液検査によって感染を確認します。
まず、HIVスクリーニング検査という抗体や抗原を調べる検査で、陰性か陽性か診断します。この検査は、あくまで感染の可能性があるか確認するための検査で、仮に陽性であっても感染していないことも十分にあります。
検査後は、再度、確認検査を行って偽陰性か陽性か確認します。確認検査にて陽性と判断されれば、感染が認められる仕組みです。もちろん、確認検査で陰性と判断され、最初の検査が偽陰性だった事例もあります。
また、ウィンドウピリオドと呼ばれる感染から検査で抗体が検出可能になる期間が存在します。抗体検査の場合は感染から6〜8週間ほどかかります。これには個人差がありますし、感染のタイミングを知ることは困難です。
初期症状から1〜2か月後に検査を受けるのが適切です。また、定期的な検査を行うことで、早期発見につながりますし、一番の予防法です。
HIVの治療薬|抗レトロウイルス療法(ART)について
治療薬には、数種類の抗レトロウイルス薬を組み合わせて使用します。
この薬は体内のウイルス量を抑制して、免疫機能を維持する目的で服用します。ウイルスが増殖することで発症するエイズですが、増殖しなければエイズの発症を防ぐことが出来るので、効果的な治療方法と言えるでしょう。
体内の抗体を検出不可能まで、減らすことを目的とします。
治療薬の副作用|薬を飲むのはつらいのか?
治療薬として使われる、抗レトロウイルス薬はエイズの発症を抑えるのに効果的です。しかし、治療薬には副作用も確認されており、吐き気や肝機能への影響が確認されているため、定期的な医療チェックは欠かせません。
ほかにも、インスリンが作用しにくくなり、血中のコレステロールや中性脂肪が増加するといった報告もされています。
感染後の薬以外の長期的な健康管理
感染して治療を怠ると、免疫システムが破壊されていきます。
治療薬にも個人差があり、感染者は心血管疾患や骨粗しょう症のリスクが高まると報告されているため、長期的な健康管理は重要です。病気とたたかう抵抗力(免疫力)の低下、治療薬の副作用を日々観察する必要があるでしょう。
HIV(エイズ)の正しい知識を持つこと
正しい知識を持つことは感染予防にもつながります。
自分が感染したり、パートナーが感染したりしても安全な性行為と定期的な検査によって、健康的な生活は十分に送れます。また、心理的影響や社会的影響を考えることも、重要な課題だと啓蒙されています。
抗レトロウイルス薬(ART)によって、進行を防げます。さらに、1日1回の投与だけで、ウイルスが増えるのを抑制する薬も開発されています。ワクチンの開発も進んでおり、将来的には感染者の大幅な減少にも期待されている。
HIVは、コンドームの使用でほぼ100%の確率で防げると言われています。
治療薬を服用して、検出限界未満を最低6か月以上継続できれば、相手に感染させるリスクはゼロとなります。この状態であれば、コンドームの予防無しでも感染しないので、早期発見と治療の大切さがわかります。
また、感染しても、保険適用外の薬となりますが「PrEP・PEP」といった薬を正しく使えばほぼ100%予防できます。なので、感染したからと言って、セックスが行えないわけでもありません。
正しい知識を持つことが何よりも重要です。
まとめ
HIVは性的接触(性行為)によって感染します。
HIVに感染すると初期症状として、高熱、喉の痛み、倦怠感、筋肉痛が起こります。これらの症状は自然に消失しますが、これは無症状期間です。数年から10年以上を経てエイズを発症するため、定期的な検査と治療が必要です。
感染を防ぐためには、コンドームの使用、PrEP・PEPの利用、定期的な検査・通院が大切です。コンドームを使用すれば、ほぼ100%予防できると言われていますので、コンドームは避妊だけではなく、感染予防としても高い効果を発揮します。
また、感染が確認された場合は、治療を正しく行うことが重要です。抗レトロウイルス薬(ART)などは侵攻を防ぎ、正しく抑えられれば性行為によって相手に感染するリスクをゼロにすることができます。
もちろん、母子感染などのリスクもゼロです。
風邪やインフルエンザと似た症状が起きた時は感染を疑い、クリニックで検査を受けることをオススメします。正しい検査と治療を受けることで、パートナーに感染するリスクも同時に減らせます。
正しい知識を持って、正しくHIV(エイズ)と向き合いましょう。
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本記事は、日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAS及びJSAPS)所属のアモーレクリニック院長鈴木秀明医師の監修のもと、内容の正確性や信頼性を確認しています。