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淋病の感染経路|男は激痛で女は無症状?潜伏期間に気をつけよう

淋病は「淋菌」という細菌に感染することで性器を中心に炎症が起きる性感染症のひとつ。厚生労働省が調査した総感染者数をみると、女性よりも男性のほうが感染者が高く、その差は約4倍近い数字です。

 

従来の抗生物質が効かない強い耐性を持つ「耐性淋病(スーパー淋病)」も、近年世界中で話題になっています。

 

淋病の感染経路は?

 

淋病の感染ルートのほとんどが性にまつわる行為で、性行為のやり方によっては性器同士以外の感染も十分にあり得ます。

 

性器同士の感染

 

感染者が女性である場合は女性器から男性器へ、男性が感染者の場合は男性器から女性器へ感染します。

 

膣への挿入の有無にかかわらず性器同士が接触することで体液が性器へ付着し感染するため注意が必要です。

 

咽頭から性器、または性器から咽頭

 

オーラルセックスやクンニリングスによって咽頭から性器に感染したり、性器から咽頭に感染することがあります。

 

性病検査には咽頭の検査もあるのですが、内科では検査してもらえなかったり、耳鼻咽喉科では診察時に自己申告をしなければ検査対象として見落とされがちに。

 

耳鼻咽喉科でも性病検査ができないわけではないのですが、医師への自己申告が恥ずかしい人は泌尿器科や性病科、女性であれば婦人科へ相談するのがおすすめです。

 

性器から肛門、または肛門から性器

 

淋病の感染ルートには膣性交や口腔性交だけでなく、肛門性交(いわゆるアナルセックス)から感染を引き起こすケースもあります。

 

特に肛門性交を行うと直腸を傷つけることが多く、妊娠の心配もないためコンドームの着用をせずに感染者との性交を行えば性病に感染してしまう可能性が高くなります。

 

1回の性交渉で淋病になる感染率は?

 

 

膣性交における性器淋病感染症の感染率は男女で数値が少し変わります。

 

コンドームの着用をせずに膣性交を行うと、女性が男性に感染させてしまう確率は約20~50%、男性が女性に感染させてしまう確率はさらに高いといわれています。確率論なので数値が絶対とはならないものの、少なくても5回に1回、その日の体調や基礎免疫力によっては2回に1回の頻度で感染する計算です。

 

淋病の感染者数は減っている?

 

先進国の中で日本は唯一性感染症患者が増えているというのを耳にしたことがあるかもしれませんが、同じアジアの国々の中でも性病が増え続けている国は日本くらいです。

 

ただ、幸いにも淋病に関しては徐々に減少傾向にあり、厚生労働省が調査した令和元年の感染者報告数は10年前に比べて2割ほど少なくなりました。

 

20年前の総数と比較すると男性の報告数も半分ほどに下がったものの、注目したいのは女性の報告数です。女性の淋病感染者の報告は近年のピーク時に比べて半分以下に減ったものの、ここ数年はほぼ横ばいの状態を続けています。

 

オーラルセックスによる咽頭への感染が広がっている

 

淋病が減少傾向にあるとはいえ、オーラルセックスによって感染を広げているという見解もあります。やはり風俗産業は性感染症の拡大と密接な関係があり、オーラルセックスのお店であっても安心とは言い難いのです。

 

従事している女性にとっても利用者となる男性にとっても、性器への接触がある限りは感染のリスクを頭に入れておかなければいけません。

 

淋病の潜伏期間は?

 

 

個人差もありますが淋病の潜伏期間は約2~7日ほどといわれており、この期間を過ぎても無症状の方もいるため、気づかぬうちにパートナーに感染させてしまうこともあります。

 

感染の疑いのある行為から24時間以上経っていれば病院での性病検査は可能で、症状が出ている場合はその日のうちに薬を処方してもらうことができます。

 

淋病にかかったときの症状



 

淋病の大きな特徴のひとつに、男性が感染してしまったときの症状が分かりやすいことが挙げられます。

 

厚生労働省が毎年行っている淋病感染者の男性報告数が圧倒的に多いのも、女性に比べて性器に症状が現れやすく検査をする機会が圧倒的に多いからです。淋病の具体的な症状には、

 

  1. 強い排尿痛
  2. ペニスの違和感やかゆみ
  3. ペニスの激しい痛み
  4. 尿道から黄色や白っぽい膿が出る
  5. ペニスや睾丸の腫れ
  6. 軽い発熱や倦怠感

 

これらの症状が一般的に挙げられますが、男性であってもほとんど症状が出ない方もいらっしゃるようです。

 

粘り気のある膿や激痛などの症状は性行為だけでなく排尿時にも辛く感じるため、一旦症状が出れば病院への受診をする男性が多いのが特徴です。また、同じ性感染症のひとつでもあるクラミジアと症状が似ているのですが、淋病のほうがより重い症状が現れやすいといわれています。

 

女性の淋病は無症状ってホント?

 

一方で女性の場合の症状は男性とはかなり異なり、淋病感染者の約80%は自覚症状がない、いわゆる無症状の方が多いのが特徴です。

 

症状が出てもおりものの増加や排尿痛など体調不良や尿道炎などと間違われやすく、症状が引くこともあるため気づかないうちにキャリアになってしまうこともあります。

 

無症状の淋病を放置するとどうなる?

 

淋病は放っておいても症状が収まることはなく、自然治癒しないため重症化しやすいです。

 

特に気をつけてほしいのが、自己判断で家に余っている抗生物質などを服用すること。淋菌は非常にずる賢い細菌で、中途半端に抗生物質を摂取すると耐性淋菌となり、治療がますます長引いてしまします。

 

世界中を騒がせている「スーパー淋病」も結局は耐性淋菌の一種で、このような菌の変異は珍しい話ではありません。淋病は放っておけば精巣や前立腺まで到達し、精巣上体炎や前立腺炎などを引き起こす可能性もあります。

 

そこからさらに悪化すれば男性側の不妊の原因となる無精子症のリスクも高まるため、病院での治療に加え、処方された薬はしっかりと飲み切ることが大切です。

 

淋病が招くさまざまなSTD

 

激痛を伴う症状が出ている淋病を放置する男性は少ないかもしれませんが、無症状の場合を考えると放置してしまうこともあるかもしれません。ですが、淋病にかかった状態には変わりないため、パートナーに感染させてしまうだけでなく、他の性感染症との合併症にも注意が必要です。

 

淋病感染者の20~30%がクラミジア感染症にかかっているともいわれ、性病を貰いやすい状態といえます。特にHIVなど感染力が低い性病でも一気に感染確率は高くなるので、放置をするのは非常に危険です。

 

感染が判明したら、パートナーとの同時進行での治療を心がけ、ピンポン感染を防ぎましょう。

マッチングアプリと性病の関係|婚活アプリで性感染症が増えている?!

webサイトや電車内広告でもよく目にするマッチングアプリや出会い系サイト。その利用者は年々増えているようですが、性感染症数に相関関係があるという研究が注目を浴びているのをご存じでしたか?

 

マッチングアプリで性病をもらう?

 

ネットの普及に伴い、成人男女の出会いの場として一躍人気となった「出会い系サイト」のコンセプトは、令和の時代においても根強い人気があります。その派生として現代版の出会い系ともいえる「マッチングアプリ」がアプリが誕生し、広告効果もあって利用者は年々増え続けています。

登録者数が1000万人を突破しているマッチングアプリがあるなど出会いの場としては便利な反面、なかには体だけの関係を求めているユーザーも利用している状態です。

 

真剣交際を目的に登録したユーザーであっても、同じエリアに住む異性と気軽にデートができるということは性交渉の機会もその分増えているのではないでしょうか。

 

性交渉の機会が増えれば性病に感染する確率も増えるのは当たり前の話で、相手が不特定多数であればあるほど性感染症キャリアにマッチングしてしまう可能性が高くなります。

 

出会い系アプリと性病の相関関係

マッチングアプリや出会い系サイトの登録者は不特定多数の異性とデートを同時進行で進めることもできます。例え自分が選んだ異性が真剣交際の相手であっても、残念ながら性病に感染している可能性は否定できません。

 

実際に、日本国内で一番感染者数が多いといわれている性器クラミジア感染症は、20代の若い世代の報告が圧倒的に多いのが特徴です。男性の場合は25歳~29歳、女性は20歳から24歳の罹患率が高く、マッチングアプリ利用者の世代と一致するのも見逃せません。

 

マッチングアプリの利用と性病リスクのある性交体験を研究したデータによれば、性病の感染経験がアプリの利用経験がある男女に多かったという結論を出しているものもあります。

 

出典元:「マッチングアプリの利用とリスクのある性交経験との関連」

 

このように、性病感染者の全てがマッチングアプリや出会い系サイトユーザーとはいえないものの、利用者と性病には相関関係がみられたのです。

 

マッチングアプリ利用率と梅毒患者の増加率

帝京大学ちば総合医療センター産婦人科の鈴木陽介医師が行った研究も非常に興味深いデータです。出会い系アプリの利用率と人口当たりの新規梅毒感染者数との相関関係を調べた結果、出会い系アプリの利用率が高い地域では、新規梅毒感染者数も相関的に多かったというもの。

全ての原因がマッチングアプリにあるとは断言できないものの、利用者と梅毒には関係性がある可能性は高いといえるでしょう。

 

日本だけにとどまらず、出会い系のアプリによって梅毒に感染するリスクも増えるリスクは世界中で研究が行われています。さらに言えば梅毒だけではなく、いかなる性感染症であってもアプリ利用者と感染の相関関係が疑われているのが実情です。

 

婚活アプリを利用するなら性病検査を

 

マッチングアプリと性感染症のリスクに相関関係があったからといって、アプリの利用や性交渉そのものが悪いわけではありません。

 

実際、マッチングサイトや婚活アプリなどでは、利用者同士がそのままゴールインをしたというケースは世界中にはたくさん例があります。日本でも、ひと昔前の『出会い系』のイメージから一転、アプリのイメージは真剣交際を始めるツールとしてポジティブなイメージになってきましたし、”ネットから始まる恋愛”は徐々に受け入れられてきています。

 

ただ、自分が選んだ相手が性病にかかっている危険性や、大切なパートナーに自分から感染させないようにすることが一番重要なポイントです。特に結婚を前提としたカップルであれば、不妊の原因になりえる性感染症の検査は二人の将来をも左右します。

 

性病は、どちらかが感染していればピンポン感染をおこしかねないので、パートナーと一緒にブライダルチェックを行うのが理想的です。

マッチングアプリで性病に感染した時の対処法

 

 

マッチングアプリを利用して性病にかかってしまった場合、パートナーと相談しそれぞれが病院で検査を受け、2人も陽性反応が出たら同時進行で治療をしていきましょう。どちらか一方のみの感染の場合は、治療中の性行為はコンドームの着用をしていてもリスクが高いためおすすめできません。

 

早期発見できれば比較的治療期間も短いので、専門機関への早めの受診・検査が大切です。男性であれば泌尿器科や性病科、女性であれば婦人科へいくと、専門医が的確な検査と治療を行ってくれます。

 

また、性器に陽性反応が出た場合は、咽喉にも感染している可能性が高いです。オーラルセックスによる咽喉感染も考えられますので、相手の性器に陽性反応がなくても咽喉の検査を勧めてあげてください。

 

結婚を検討しているならブライダルチェックもあり

 

みなさんは「ブライダルチェック」と呼ばれる、カップルが婚前に性感染症に感染していないかを調べることができる性病検査パックをご存じでしょうか?

 

マッチングアプリで出会った異性とせっかくゴールインの話がでたのであれば、婚前にカップルで受診・検査することができるブライダルチェックもおすすめです。

 

性感染症は重篤な感染症への感染・悪化の原因となり、男女ともに不妊症など結婚後にも大きくかかわる病気。一緒に受けることでお互いの絆を深めるキッカケになるかもしれません。

 

当院でも、STD(性感染症)の各項目をしっかりと調べることができる『ブライダルチェック・フル』で、婚約・結婚前にカップル揃っての検査を推薦しています。

 

まとめ

 

マッチングアプリが身近なものになったということは、性感染症にかかってしまうリスクも増えたという結果がさまざまな研究データから明らかにされはじめています。

 

結婚を前提とした交際相手であっても、検査で陰性反応が出ない限りは性感染症キャリアではないと言い切れません。

 

ネットからの出会いは信頼関係が大切です。自分やパートナーの感染を予防するためにも、マッチングしたカップル同士で性病検査をすることがお互いの信頼関係を保つための誠意ではないでしょうか。